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2016.07.10 7月号の歌
アトムだ蓮池暑中お見舞い申し上げます!
で、いいですよね、7月です。今年も半分が終り梅雨が終わったのかどうかよくわからないまま暑い毎日です。祇園祭もはじまり大阪の駅でも毎朝京都線の方から祇園囃子が聞こえて来て、これを聞くとああ夏の盛りだ、と私は感じます。でもさあ~私の乗る宝塚線には手塚治虫記念館があってさ、今はアトムなんかの描かれた車両で、これもちょっと朝から嬉しかったりします。
毎日こんなにあるんだ…仕事ってというくらいてんこ盛りの毎日。去年の今頃の日々の暇さと空虚さを思うと不思議でさえあります。

「青南」7月号(第十九巻第7号)掲載
◆作品1(作者自選歌欄)より
軍にありて何をか吾の悟得せし忠君愛国も夢のまた夢       清水 房雄
マルタにて折りたる小枝根付きたれど咲かぬ六年もう少し待つか  清水  香
今日のヘルパー駿河湾岸の生まれにて桜えび天ぷら揚げてくれたり 伊藤 安治
日常の様々為してゐるものを面倒な書類の数字まとめる      逸見喜久雄
この広き園の六月何処にかヒマラヤの青い芥子が咲くといふ    今福 和子
特攻基地加世田より来しシジミバナ春なれば咲くほろろほろほろ  堀江 厚一
仕方なく用字手帳に調べみるやうやく「麩」の字にたどりつきたり 内田 一枝
サンルームあした冬日のきらきらし歩行器よせて窓べに坐る    佐々木良一
寝室より今宵仰げば月昇り月の光に安らぎて臥す         庄司ゑい子
今の地震堪(こた)へたのうと言ふ電話人間魚雷の隊長だった   高木  正
花冷えの心憂きあさ木漏れ日は厨のま中に届きてゐたり      佐藤 東子
金網ごしの春の陽あたたかさうに見ゆ哲学堂の木彫の幽霊     戸田 紀子
頂上の平たく見ゆる苗場山もあれでなかなか君の言ふには     伊藤 和好
膝腰の疼く八十半ばなりテレビに向かふ朝の体操         上山 篤義
玄関に活けたる李の白き花ふたりの老いの靴に散りしく      尾形 冴子
親の手に黄の旗高くある朝子らのカバンはゆれゆれ紅し      瀧本 慶子
目薬をさすのが下手で頰伝ふ涙ぢゃないのよ何度もぬぐふ     竹内 敬子
大阪駅中央コンコースに待合ひき平凡に生きて共に老いたり    松家 満子
障子戸を閉ざせば昼も暗き土間上り框に甘酒いただく       嶋 富佐子
春の嵐すぎて芽を吹く垣山は靄の棚引く上に連なる        山本 靖彦

◆作品2(6名の選者による選歌欄)より
怠惰なる吾と係りなき如く黒き森より出づる太陽         伊東 芳子
歩行器につかまり足踏みして居たり妻は桜の見ゆる窓辺に     古島 重明
篠笛の哀愁帯びし新相馬節歩みをとめて終るまで聞く       鈴木 信子
夕鳥の枝移りつつ声もなし病みては今日も一日見てをり      寺田 シズ
亡き妻の手書きの名札なほも立ちて今年も咲けり庭の春花     北村  良
風邪が少しよくなりし母もう畑に暗くなるまで草を引きをり    板谷英一郎
美しき囀り聞こゆ見上ぐれば逆光の中影のみの鳥         五島 幸子
夏来ればそよぐ青田を秋来れば垂るる稲穂を見つつ通へり     丹  亮子
歌のこと仕事の事を考へず日帰り湯に来て芝居にほろり      佐藤テル子
歩みなれしわが庭先に転びたり誰か見てゐる者はゐないか     二階堂ヤイ子
朝食の茶碗も流しにそのままに母は穏しく眠りて逝きぬ      出口 祐子
あらあらしく杉の古木は揺れ動きこの風景は寂しかりけり     栗原 義一
 
◆作品3(6名の選者による選歌欄)より
玖珠と言ふ変はりし地名に住みてゐし友に一度は逢ひたく思ふ   池田 幸男
托鉢の朝の街行く修行僧の若き足なり細き足なり         𠮷町 博子
家前の畑に咲ける菜の花を門にもたれて夫は見て        佐々木美智子
回復期なんと響のよき言葉繰り返し言ひ足ひき歩む        苫米地和江
樟二本春の落ち葉の夥しすでに新芽の尖り天指す         望月百合子
歩くこと歩けることが当然のやうに思へて過ぎてゆく日々     桐山 五一
年度末の忙しき仕事片付きて母の墓辺に時かけてをり       中津留初枝
遠く見ゆる石塀の上をのっそりと歩く猫ゐて春うららなり     平井 和枝
シルバーカーたよりて常の坂二つ腰をおろして町家見晴らす    井上 保代
届きたることは忘れし母なるも状差しにあり介護通知書      村上 良三
入院の夫と看護の吾の声共に掠れてささやき合ひぬ        山本 昌子
暮るるまで少し間のある丘の畑草取りをやめ海を見て居る     福本 一夫
里芋を掘り起こしたる黒土は雪をかづきて湯気立ちてをり     森元 輝彦
竹藪にラジオ体操聞こえ来ぬ筍掘りを中断したり         釜野 清信
雨に打たれ地に伏すラッパ水仙を剪らねばならぬ仕方なく切る   三枝 笑子
手術後の麻酔とれゆく怪し気な酸素マスクの夫の声聞く      亀田美津子
海原に流れゆくのか花筏明日発ちゆく君を想へり         佐々木容子
雪解けて乾きゆく庭見つつ待つ今年植ゑたき幾つかありて     河野 政雄
看護師の押す車椅子に乗せられて長き廊下を風切りてゆく     横山 昭夫
我未だ仮設に暮すされど今熊本地震に心を寄せぬ        佐々木京子
仕事する時刻は朝の三時半若布若布に春の日々過ぐ    前川 和子
やはらかく被りし雪を手に払ひ堅く育ちしブロッコリー摘む   佐々木知津子
土手道は砂利あり草のところあり足元のみを見詰めて歩く     渡辺  涓
除染了へ肥料もせざる庭の木々芽を吹き優しく沈丁花咲く     畠  ミチ
震災の津波に倒れし松の木の丸太が高く積まれてありぬ      松本 令子
黄の帽子黄のランドセル通りゆく芽吹き初めたるプラタナスの道  伊藤 章子
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