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2016.12.17 12月号の歌
山茶花雪だるま12月です。寒いです。バーゲンで新しいブーツを買いました。
先日仕事先の忘年会がありました。25人ほどが集まり、にぎやかな会でした。一年前は数人だったのにいつのまにこんなに人が増えたのだろう。仕事が増えたため人を増やしたのか、人が増えたからそれに見合う仕事を確保しているものか、…とりあえず増収みたいで、増益かどうかは知らず、といったところ。まあフリーランスなので、会社がもうかるほどに個人の懐に入ってくるわけじゃない。社会保障は何もないし、と思いつつそれぞれと喋り飲み、つい飲み過ぎて久しぶりに二日酔いになりました。しんどかったな…。でも楽しかったな。きっと最年長の私は何となく労わられているのだろうなと感じつつ、それもまあいいかって感じです。

「青南」12月号(第十九巻第12号)掲載
◆作品1(自選歌)より
 慌しく坂登りゆきし少年は何か頷きつつ戻り来ぬ          清水 房雄
 もう少し近づきくるを持ちてゐる思ひがけぬ雷遠く聞えて    故 清水  香
 憎みつつ生くるは憎まれつつ生くるよりかなしからむと思ひつつ寝る 堀江 厚一
 いつも来る鳥とは違ふ鳥は何夕くらみ来し庭石の上         豊田 純子
 長生きをしませうと今年九十になりたる人に言はれて帰る      梅沢 竹子
 思ってはならぬ思ひもあるものを思ひてこよひ眠れずにをり     内田 一枝
 光あらき午後の高原(たかはら)ホース引き人はホテルの外壁を洗ふ 佐々木良一
 我が庭にほととぎすの花咲きいでてすこやかな老に感謝して生く   庄司ゑい子
 子供の数極端に減りたる町内に神輿担げる人を数ふる        能見謙太郎
 かなしみを詠み哀しみを耐へ凌ぐおのれの歌が己を支ふ       山本 吉徳
 黄の花を赤くまだらに染めあげてカンナは晩夏の光の中に      森永 壽征
 鴨川に鷺一羽立つ鷺の白が大好きなのと言へる人あり        前川 昭一
 挑戦をするも最後の登山かと踏み登りつつ夫の言ふ声      故 今泉  操
 気後れとためらひの中に漂ひて可哀想なる私の本音         戸田 紀子
 半分くらゐは話分って幼子と土手の日向に電車待ってゐき      根本  正
 稀々に予定なき日に過ぎてゆく退屈しながら雲などを見て      伊藤 和好
 一時間の老人体操こなしたり何かにつけて数へるわが年       副島 浩史
 くれなゐの雲の重なりにかりそめの浄土を思へば夕風の立つ     牧野  房
 霧こめて峡の稲の重々と熟れて沈めり雨の降る日を         尾形 冴子
 おれたちの未来はせいんせいも踏む未来共に生きよと背を押す今も  瀧本 慶子
 こにしき草おおにしき草にしき草ここに草あり靴の跡あり      竹内 敬子
 台風の近づく予報夕刊のそれぞれビニール袋に包まれてくる     上柳 盈子
 汝の墓に手を置き思ふ嫁ぐ日の笑顔幼き時の泣き顔         青木 良雄

◆作品2(6名の選者による選歌欄)より
 ズッキーニをゴーヤをオクラを培ひて食する日々ぞ健やかにして   池本 捷子
 炭坑節を幽(かす)かに歌ふ夫の辺にわれの心は少し安らぐ     水谷 節子
 「髪も爪もよく伸びるのよ」と微笑みし母の爪切る敬老の日     井上由美子
 泉まで夕べの散歩三十分茜の空の鎮もりてゆく           藤原 亘子
 誓ひたる無事故運転四十三年また誓ひつつ免許更新す        荒木 英市
 穏やかな晴天続きわが待てる秋の彼岸も間近になりぬ        吉田 寿美
 朝光のまっすぐ届くひとところ自転車のをみなふいに煌めく    佐々木知津子
 熱く燃え吾は若者妻二十歳実現している娘三人           和泉 南雄
 満月の窓は明るし廊下の灯消して虫の音聞きつつ眠る        野口久仁子
 相合はぬ事も良しとし夫と我合はせぬままに年重ねゆく       𠮷町 博子
 裏白きチラシに母の用あれば書きくれしメモのなほ捨てがたし    西谷 時子
 申告書にマイナンバーを記入する十二桁ある長き数字を       鈴木 晃子
 仏飯を供へて妻と向き合へば一生懸命生きむと思ふ         桐山 五一
 明日の朝つばめの群はいっせいに南に向けて飛び立つといふ     畑 佐知子
 中海にボート一さう浮びたり二人の影を夕日が包む         平井 和枝
 塾の生徒に教へる妻の声がする我には掛けぬやさしき声が      板谷英一郎
 雨欲しと思ひしことも罪のごとし水害映像の前に額伏す       井上 保代
 昼寝する部屋にかすか気配ありて九月の風の通り過ぎたり      藤井冨美子

◆作品3(6名の選者による選歌欄)より
 声聞ゆ顔も見ゆるよ麻酔より醒めて再び命ありたり         鹿庭れい子
 少しづつ降車してゆく終バスの吾降りしあとは運転手のみ      釜野 清信
 一枚の葉書いくたび読みにしか秋となりゆく光の中に        川上 幸子
 子の在らば歌を詠むことなかりけり欠詠せずに二十余年過ぐ     中村 久子
 一文字に蛇の横たふわが庭に残りの夏のひかり眩しき        西風 諒子
 母の背を摩ればいつしか眠りたり寝息確かめ病室を出づ       丹  亮子
 風さやか彼岸花咲く朝の道又振り返り坂道のぼる          藤代 幸子
 敬老の日ひら仮名らしき字を添へて幼は吾に手紙くれたり      宮本ナルミ
 子が来れば砂糖と塩を間違へし煮物の失敗笑ひて告げぬ       向井よし子
 新車買ひ十年共に生きようと誓ひしわれら十年乗りぬ        堤  恒平
 一歳と八十八歳の二人連れ車の下の猫を見にゆく          南 美智子
 降ってくる前に庭少し片づけむ読みゐし本を置きて出で来ぬ     河野 政雄
 朝顔のこぼれ種より芽ばえ咲く秋の初めに楽しみ残る        齋藤しづ子
 僅かづつ妻と分け合ひ栄養補助食品なるものを試みに飲む      髙橋 源良
 海草の甘き香りの風が来る唯起きてゐる夏の夜の窓に        渡辺  涓
 風邪に臥す部屋の障子に藤の葉の写りて影絵のやうにゆれをり    小湊宜誌子
 大雨の予報あれども逸れてゆく稲田は今が水ほしい時        佐藤テル子
 望みゐし悠々自適も安からず為すべきの無く今日も終りぬ      森合 満江
 若き等の考へどほり椎と樫と八本伐りて家中明るし         細野 幸江
 朝露の光る芝生に五十人朝の体操ここちよかりき          松田 玲子
 桐の花風に吹かれて靡きをり陸前高田の海を遥かに         三輪 武士
 青きままの柚子を絞りて食べてゐる今年のサンマ小さき秋刀魚    伊藤 章子
 川沿ひに真っ直ぐ伸びて咲きし花黄の曼珠沙華おはやうお早う    金子喜代子
 僕はもう使はないからと故里の地図を父は渡しくれたり       出口 祐子
 火にまみれ煙にまみれ黒々と古びし小さき鰻屋旨し         北見 法子
 大蜥蜴散水の虹をくぐりぬけ石菖の中に隠れゆきたり        板橋 節子
 山鳩の鳴く声聞えくる真昼少し遠出をせむと出で来し        大川 文子
 誘はれる事なく誘ふ事も無し病みて籠りて一年は過ぐ        池谷 久子
 白内障の手術かなはぬ身となりて夜の読書はむづかしくなる     山本しづこ
 台風のそれて棚田は黄に熟るる刈取り間近の静けさ満ちて      前田つる子
 思ひがけぬ心疾患となりたるも野菜畑が見たくなりたり       寺田 シズ
 食欲もなく一束のソーメンを卓に取り出し眺めゐる午後       谷口嘉代子
 樹形よきポポーに数多実のつきて熟れて落ちつつ香りを放つ     安原 律子
 思ひ立ち歩けば何かに当るかと少し気負ひて靴はく今朝は      堀田三重子
 日焼けせし鎖骨のくぼみ少年の健やかなるは少し憎らし       小川瑠璃子

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