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2016.09.11 9月号の歌
レオピノコ9月です。いつまでも暑い。台風が多い。被害に遭われた方や大変な地域の方々に心よりお見舞い申し上げます。
土曜日は戦後の「アララギ」をいただきに京都の会員のお宅に行き、長々とお喋りしていました。何ヶ月かに一度こうして伺い、リュックに入るだけ入れて肩がちぎれるかも…と思いつつかついで帰ってきます。送ろうかともいわれましたが、お会いできる機会でもあり勝手を承知で出かけていきます。たまたま我が母校の近くにお住まいということもあり懐かしい街を歩くのも嬉しい感じなのです。

「青南」9月号(第十九巻第9号)掲載
◆作品1(作者自選歌欄)より
外食は何時もの店にてスパゲッティ僅か歯応へ有るも親しく     清水 房雄
昼寝より覚めたる時に調子よく隣家より包丁叩く音せり       清水  香
早く効くリハビリもあり靴下を容易に穿けるやうになりたり     伊藤 安治
閃きは直ちにメモに記すべし閃きは即わが短歌なり         逸見喜久雄
五月祭にカキ氷百個売りたりと孫は日に焼け屈托もなし       今福 和子
責めて責めて何をもせずにある者も許され眠るこの土の上に     堀江 厚一
テレビ映像切りて静かさ果なき夜みづからの息きこゆるまでに    梅沢 竹子
文明先生み墓めぐりの草刈られ五月十四日只々すがし        内田 一枝
手術後の鏡のわれの目の縁の浮腫痛々し底の目玉も         能見謙太郎
鼻腔より胃に管通す苦しみは生きる喜びに繋げる苦しみ       山本 吉徳
戦乱のとほき昭和を語らむにあいつもこいつも死んでしまうた    松尾 鹿次
背負ひたるリュックに少し茎を出すかをり豊かなわが山の蕗     森永 壽征
海霧はいつかはれゆき復興の街に燕は尾を上げて飛ぶ        戸田 紀子
帰り来し母と幼子階下にて交はす言葉のしばらく続く        伊藤 和好
朝明けの光をあびて沖を行く船一隻が視界より消ゆ         副島 浩史
一両に乗客ふたりことばなく朝もや深き県境を越ゆ         森田  溥
遠征の中学生の集ひゐるバスの乗り場に藍の花咲く         瀧本 慶子
パンフレットは宮島の鹿に喰はれけり巡る前にてしばし佇む     竹内 敬子
夏至前の暑き日が山に沈む頃草刈機提げて吾は出でゆく       長弘 文子
闇に慣れし眼にまぶしき六日月蛍の森を出できて仰ぐ        伊藤登久子
灯を消せば月光の部屋に白銀の光はしづかにわが枕に及ぶ      海野 美里
野茨の花の香りのほのぼのと畑の畔草刈り終りたり         山本 靖彦

◆作品2(6名の選者による選歌欄)より
早蕨がもう出てゐたとひとにぎり姪が置きゆく勝手口に       平野しづえ
子供等に悲しき思ひさせぬため勇気を出して生きねばならぬ     谷口嘉代子
夕靄に白つめ草の花浮かびバンガローに灯りのともる        伊吹 泰子
少女の日に分らぬままに摘みとりしむらさき淡きじゃが芋の花    畑 佐知子
翳り来る山の稜線色変はり今日も無事なりと思ふしあはせ      小川琉璃子
来る人も無しと思へど門灯を宵々ともす独りの暮らし        井上由美子
息子らの前に気丈に振舞へど九十の体泣くこともある        外園 治子
花あれば車を停めて歩きゆく木々のあひだに路つづきゐて      河野 政雄
大き出刃を買ふは最後か丹念に刃先見てゆく工房のなか       佐藤 昭子
茎高く立葵咲く道の辺に除染作業の看板の立つ           丹治 廣子
何ゆゑにこんなに買ひしか母の家に値札の付きしままにある服    出口 祐子
一切の命の時は終りたり音立て倒る胡桃一本            吉沢 真理

◆作品3(6名の選者による選歌欄)より
帰り遅き子らの皿にはラップかけ夫と二人の夕餉はじむる      角谷 明子
手術待つこの二ヶ月よ馬鈴薯の花咲く見ればこころなごみぬ     寺田 シズ
見えざれば隣の墓に手を合はす母はこちらと運転手の言ふ      藤原 清次
サボテンの花の開きし六月の庭に夫との会話のはづむ        平尾 輝子
二枚の田トラクターにて耕して満足さうな九十の父         板谷英一郎
柏餅欲しと思へば動けるよ雨風の中柏の葉取る           難波 澄子
菊作り止めし素焼の八号鉢積み重ね置く庭の奥処に         今川 茂子
物ひとつなき地に重機の音のして「かさ上げ工事」のそばを通りぬ  森川 武彦
今日ひと日何をせしかと思ひつつ五行の日記埋められず閉づ     村重 広子
ホームに入ると決めたる姪はつめこみし簟笥ひとさを売り払ひたり  森田 佳子
見てゐても未来の変るわけもなし燕の帰巣そら豆の発芽       釜野 清信
体力の衰へ来れば筆力の失せし歌稿も許し下され          三枝 笑子
坂道をマフラー靡かせ腰上げて自転車漕ぎつつ孫もどり来る     中山 輝子
いつよりかインスタントのラーメンを食べる女に成り下がりたり   水越 みち
御喋りのおかめインコの亡くなりて寺の廊下は又しんとなる     山口  悠
家計簿と短歌手帳に加はりて介護日誌を今日書き始む        加藤 公子
一斉に朝開きたるサボテンの夕べ萎みて再び開かず         東倉紀美子
野あざみの花は終りて綿毛となりどこまでも風に吹かれゆくなり   堤  雅江
帰りゆく息子の姿消ゆるまで窓辺に立ちて吾は見送る        吉田 寿美
誂へし手鎌一丁母の日に少し遅れて子のプレゼント         宿利はるえ
病室の物影仄かに見えて来て吾が八十九歳の朝明けてゆく      横山 昭夫
二時間を眠れぬままに入眠剤残りの半錠のみ足して寝る       板橋のり枝
ルピナスは色とりどりに高く伸びうれしきことを夫の言い出づ    眞野 ミチ
補聴器を忘れて来たる山辺の道今しみじみと沈黙の春        渡辺  涓
日の射せばやうやくわれの意気込みて木を挽き始むこころは若く   大室 外次
海近きホテルに着きて潮騒の聞こえぬ海が垣間見えたり       佐藤テル子
蕗の皮むきて浸せば水に浮く絹の糸にも似る細き筋         二階堂易子
赤城山一人歩むは気安くてしげき木群がたえず動きぬ        金子 侑司
なみなみと水は苗代浸したり朝日に照りて静まる水面        神成喜久枝
鹿除けの柵をめぐらし青々と陸前高田に早苗植ゑらる        富田 陽子
パパと言ふことばは発音し易いか娘三人は矢鱈に使ふ        和泉 南雄
旅だより貰ひし夜は九州へ行きたる夢見てたのしく目覚む      堀江 周代
兄の一周忌法事の済みて参る墓時鳥鳴く間近き山に         若林 壮次
さはさはと杉群れ動く昼のとき独り見てゐる寂しかりけり      栗原 義一
別れゆく朝に海霧たちこめて奇跡の一本松遠くなりゆく       小久保基子
昼下がりガランと一人新茶いれ揺らめく香り人恋しくて       田中 マリ
散髪をすませ帰りて爪を切る妻の不在も三月となりぬ        古島 重明
鯛を焼き赤飯を炊き豆を煮る曾祖母われの今日の幸せ        池谷 久子
凌霄花散りて明るき道をきぬ保ちし心またゆらぎたつ        大塚 道子
竹内か竹の内かは未だ知らず一人来りて隣人となる         黒部 一夫
白く咲く花に面影重ねしを母のテッセン庭に絶えたり        西谷 時子
舗装路を逸れて墓への砂利の道姉妹三人並びて歩く         奥東 富子
建ててはや四十五年かわれの家今日はドアのノブが外れぬ      望月百合子
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